一の渡鹿踊

いちのわたりししおどり

Ichinowatari Shishi-odori

所在地 : 岩手県釜石市

種別 : シシ芸

一の渡に伝承されている説によると、遠野市上郷町、笠森山の麓の森の下(当時は佐比内村)の住人某が、文政年間(今から170~180年前)甲子町唄貝の菊池家に働きに来ていて、唄貝・大松・一の渡部落の人たちに鹿踊を教えたのが始まりという。
この人は、遠野上郷の板沢・来内・佐比内の三鹿踊の一つである佐比内鹿踊の系統をくむ人であった。
その後、しばらく中断されていたものを幕末頃に復活し、一の渡から3人、大松、唄貝からそれぞれ1名の習い覚えた人たちによって、鹿踊、小踊、刀掛、太鼓、笛などが伝えられ、その後、明治時代の後半に大松部落とともに一の渡鹿踊が独立し、現在まで伝承してきたものである。
踊りの種類は、20種類以上あるが、伝承されているものは、15種ぐらいになっている。
踊りの構成は、種ふくべ(ふくべ振り)、子踊、刀掛け、シシ、囃方(笛、太鼓の太夫)となっており、鹿の先頭には太夫舞といって奉仕する神社名頭の双角の間に透彫の立物をしたものを配し、中央には中鹿(紅葉に鹿のメジシらしいもの)、最後尾には後鹿(ちがい鎌の立物をしたもの)を置き、後ろを向いて踊る(アトスガリ)鹿をあてた。現在の踊りは佐比内鹿踊を変化させた勇壮な踊りとなっている。(平成16年  第17回郷土芸能祭パンフより)