三陸国際芸術祭2014

三陸国際芸術祭

http://sanfes2014.minnanos.com/

開催期間:2014年8月16日(土)―24日(日)計9日間
開催場所:岩手県大船渡市、陸前高田市、気仙郡住田町、宮城県気仙沼市 計7会場

プログラム

報告書PDF

<三陸、地域のお祭り>
『第40回三陸港まつり』(連携企画)

日時:8月16日(土)14:00-20:30
会場:大船渡市三陸町「越喜来中学校グランド」大船渡市三陸町越喜来字前田41
出演:■黒岩鬼剣舞 (岩手県北上市黒岩)■千歳明神太鼓(大船渡市三陸町吉浜千歳)■川原鎧剣舞 (大船渡市立根町川原)■浦浜念仏剣舞 (大船渡市三陸町越喜来浦浜)■金津流浦浜獅子躍 (大船渡市三陸町越喜来浦浜)■バリ舞踊:チョコルダ・アリット・アルタワン Cokorda Alit Artawan/チョコルダ・イストゥリ・アナスタシア・ウェダリ Cokorda Istri Anastasia Wedari/ニ・カデ・ドゥイ・ダルマ・プリアンティニ Ni Kadek Dwi Dharma Priantini/荒内琴江/小泉ちづこ■ガムラン演奏:トゥラン・ブーラン Terang Bulan(櫻田素子/秋山ゆかり/軍司愛/田中沙織/丹野幸枝/錦織照子/横山友美/渡辺泰子) 

<三陸とアジア①>
『三陸気仙地域とインドネシア、郷土芸能でつながる』

日時:8 月 17 日(日) 14:00-20:30
会場:陸前高田市「気仙大工左官伝承館」 岩手県陸前高田市小友町茗荷1-237
出演:■陸前高田うごく七夕まつり森前組有志会 (陸前高田市高田町森の前)■金成百姓踊り (陸前高田市横田町金成)■小鯖神止り七福神舞(宮城県気仙沼市唐桑町)■たらじがね (大船渡市三陸町越喜来崎浜)■広田御祝い (岩手県陸前高田市広田町)■田束剣舞(陸前高田市小友町田束)■柿内沢鹿踊 (住田町世田米)■バリ舞踊:チョコルダ・アリット・アルタワン Cokorda Alit Artawan/チョコルダ・イストゥリ・アナスタシア・ウェダリ Cokorda Istri Anastasia Wedari/ニ・カデ・ドゥイ・ダルマ・プリアンティニ Ni Kadek Dwi Dharma Priantini/荒内琴江/小泉ちづこ/守屋圭子■ガムラン演奏:トゥラン・ブーラン Terang Bulan(櫻田素子/秋山ゆかり/軍司愛/田中沙織/丹野幸枝/錦織照子/横山友美/渡辺泰子) 

<三陸とアジア②>
『バリ蔵in Sumita Clutch 』

日時:8月18日(月)19:00-21:00

会場:住田町「Sumita Clutch」岩手県気仙郡住田町世田米字世田米駅78

出演:■バリ舞踊:チョコルダ・アリット・アルタワン Cokorda Alit Artawan/チョコルダ・イストゥリ・アナスタシア・ウェダリ Cokorda Istri Anastasia Wedari/ニ・カデ・ドゥイ・ダルマ・プリアンティニ Ni Kadek Dwi Dharma Priantini/荒内琴江■ガムラン演奏:櫻田素子/軍司愛/丹野幸枝/ 

<三陸とアジア③>
『気仙沼 BALINIGHT』」

日時:8月19日(火) 12:00-15:00
会場:気仙沼市「斉吉商店「ばっぱの台所」」気仙沼市本郷6-11 斉吉商店2階19:00-21:00
会場:気仙沼市「K-port」気仙沼市港町1-3
出演:■バリ舞踊:チョコルダ・アリット・アルタワン Cokorda Alit Artawan/チョコルダ・イストゥリ・アナスタシア・ウェダリ Cokorda Istri Anastasia Wedari/ニ・カデ・ドゥイ・ダルマ・プリアンティニ Ni Kadek Dwi Dharma Priantini/荒内琴江■ガムラン演奏:櫻田素子/軍司愛/丹野幸枝/ 

<三陸と交流>
『習いに行くぜ!東北へ!! -川原鎧剣舞、バリ舞踊を習う』

日時:8 月 20(水)・21日(木)
■バリ舞踊+ガムランを習う 17:00-19:00
■川原鎧剣舞を習う19:30-21:00
会場:大船渡市「リアスホール」岩手県大船渡市盛町字下舘下18-1
出演:■川原鎧剣舞 (岩手県大船渡市立根町川原)■バリ舞踊:チョコルダ・アリット・アルタワン Cokorda Alit Artawan/チョコルダ・イストゥリ・アナスタシア・ウェダリ Cokorda Istri Anastasia Wedari/ニ・カデ・ドゥイ・ダルマ・プリアンティニ Ni Kadek Dwi Dharma Priantini■ガムラン演奏:櫻田素子/軍司愛 

<三陸が輝く>
『イッセー尾形の演出家・森田雄三と三陸の人たちで芝居を創る』

日時:8 月 18日(月)-22日(金)
会場:大船渡市「リアスホール」(19日のみ来渡ハウス)
住所:岩手県大船渡市盛町字下舘下18-1(リアスホール)

<三陸から世界へ>
『三陸・韓国・インドネシア、郷土芸能の競演』

日時:8 月 23 日(土) 13:00-20:00
会場:大船渡市末崎町:碁石海岸キャンプ場、レストハウス前広場、世界の椿館ミニステージなど、キャンプ場界隈のエリア一帯(大船渡市末崎町字大浜221-68)

<昼の部>

『碁石海岸虎舞競演会』(連携企画)主催:大船渡市郷土芸能活性化事業実行委員会

会場:レストハウス前広場
出演:■大槌虎舞協議会(岩手県上閉伊郡大槌町)■碁石七福神(岩手県大船渡市末崎町)■鵜住居虎舞 (岩手県釜石市鵜住居町)■門中組虎舞 (岩手県大船渡市末崎町門之浜)

<夕刻の部>

『サイトスペシフィックダンス「生命の森―足あとから風景になる」』

出演:■岩下徹■気仙沼バレエソサエティ(振付:前田新奈(元新国立劇場バレエ団ソリスト)出演:吉田かれん、西條夏妃、齋藤花音、星結衣、小山美咲、大部仁、上杉美穂、前田新奈)■佐成哲夫■しおめも(石山優太、ほか)■栩秋太洋■SATOMIKI ∞ 平島聡■hazy moon(井澤佑治、井上繭加、竹ち代毬也、廣樹輝一)■永浜鹿踊 (岩手県大船渡市赤崎町永浜)■前田鹿踊 (岩手県大船渡市猪川町前田)

<夜の部>

『三陸・韓国・インドネシア、郷土芸能の競演』

会場:碁石海岸キャンプ場

『コミュニティダンス「時の輪―Passing through our body.」』

構成・演出 マニシア/アシスタント 手代木花野

出演:尾形南旺、尾﨑由奈、大友麻衣、大和田哩句、後藤七海、小松朔、小松龍之介、近藤心、佐藤ひなた、菅原維乃、田畑良崇、武田鉄平、武田凛音、千田健、細川麗斗、水野葵唯、村上空伶、村上一鞠、山本昊珠、吉田陸玖、吉田拓也・煌・陽凪多、大和田惠美子、尾﨑安子、鈴木美惠子、武田タエ子、小野良一、鳥山信人、Mr.タロット、 浅野紫帆、荒木文江、小嶋健太、金野顕、金野喜武、斎藤有美子、佐々木絵美、古澤杏子、吉田廉、村上結衣、 大和田ひなの、尾﨑莉依羅、尾﨑玄伽、紀室百優、菅原槙人、菅原維乃、及川タキ、木村久子、熊谷恵美子、熊谷君子、佐々木千枝

子、佐竹フミ、志田アイ子、浜守トモ子、桑野祐一、鈴木有希、高島遼、吉田拓也、菊池源二、菊池宮子、菅野順子、大穂綾子、柴原あゆみ、手代木花野、マニシア、金野正記、束、石井優太、平庄二、葛西大志朗、千田一正、山本香苗、千田祥子、武田隆

『韓国農楽(韓国・高敞)』

出演:■高敞農楽保存会/李洸休(イ・グァンヒュ)/ ケンガリ、林承奐(イム・スンファン)/ チン、丘在然(ク・ジェヨン)/ チャング、朱永瓏(チュ・ヨンロン)/ プク、任誠俊(イム・ソンジュン)/ソゴ 、李性洙(イ・ソンス)/ テピョンソ、神野知恵(かみの・ちえ)

『バリ舞踊・ガムラン(インドネシア・日本)』

出演:■バリ舞踊(チョコルダ・アリット・アルタワン Cokorda Alit Artawan/チョコルダ・イストゥリ・アナスタシア・ウェダリ Cokorda Istri Anastasia Wedari/ニ・カデ・ドゥイ・ダルマ・プリアンティニ Ni Kadek Dwi Dharma Priantini/荒内琴江/小泉ちづこ)

■ガムラン演奏:トゥラン・ブーラン Terang Bulan(櫻田素子/秋山ゆかり/軍司愛/丹野幸枝/錦織照子/横山友美/若林康明/渡辺泰子) 

『金津流獅子躍大群舞』

『金津流獅子躍大群舞』 (岩手県奥州市、大船渡市、花巻市、宮城県大崎市、神奈川県横浜市)(金津流石関獅子躍・金津流梁川獅子躍・金津流伊手獅子躍・金津流軽石獅子躍・金津流野手崎獅子躍・丹内金津流獅子躍・金津流浦浜獅子躍・金津流松山獅子・金津流横浜獅子躍 以上金津流9団体)

『グランドフィナーレ』
<三陸の未来へ>『シンポジウム「文化芸術による、未来のまち創造へ」』

日時:8月24 日(日)14:00-16:00 交流会 16:00-18:00

会場:大船渡市盛町「No.3 Gallery隣 二号蔵」岩手県大船渡市盛町字町6-23

◎ゲストスピーカー

赤坂憲雄(民俗学・学習院大学教授・福島県立博物館館長)

加藤種男((公社)企業メセナ協議会専務理事)

吉本光宏(ニッセイ基礎研究所 研究理事)

【参加者や関係者の声】

 「国際芸術フェスティバル」と銘打っているが、今まで見てきた芸術フェスティバルとは違っている。ここで起こっていることは何なのだろう。実は、そのような戸惑いが最初は拭えなかった。

 海に近い木立では、コンテンポラリーダンスの短い作品が、バトンを渡すように繋げられながら観客を海に近い木立の奥に誘い、道の向こう側の広場ではワークショップに参加した人たちによるコミュニティダンスが繰り広げられていた。広場での、虎舞の競演は、郷土芸能に馴染みの薄い私にも伝わる力強さと美しさがあり眼を奪われた。圧巻は、夜、ライトアップの中で繰り広げられた72名からなる獅子たちの大群舞だ。まさに天と地を轟かす迫力に度肝を抜かれた。

 演じる側と観客が、アマチュアとプロフェッショナルのダンサーが垣根なく存在していること、あらゆるタイプのダンスが混在している様、およそそこにはヒエラルキーのようなものは感じられない。聞けば、観客の数よりも演者の数が多いという。その演者がまた観客にもなるらしい。

 そこにあるのは、「国際芸術フェスティバル」という仰々しいタイトルにはそぐわない極めて素朴で親密な空間だったのだけれども、一方で、郷土芸能が外に向けて開かれていく可能性を多いに感じた。三陸からアジア文化圏を想定し、韓国、インドネシアから民俗芸能を招いていたことも、今後の国際的な展開を予測させるものだった。

郷土芸能が表現する世界は、連綿と日常生活の連なりと繰り返しの中で伝承されていくものという印象がある。三陸地域の人々は、2011年の津波の影響で、変わらざるをえない状況に追いやられ、大きな変化を迫られた。そのことが、外と繋がっていくこと、開かれていくことを選択させたように思う。そこには郷土芸能が大きく変化し新しい価値観を提示する機会にもなっていくのではないか。そのような意味で、芸術祭の枠組みの中に、芸能が入っていくことを頼もしく感じる。

 シンポジウムで、郷土芸能は決して古いものばかりではないこと、共同体の中に閉じこもる必要はない、というような発言があったが、これはかつて参加したジャカルタのダンス・フェスティバルで耳にした「伝統は古いのではなく常に生きて変化しているものなのだ」という言葉に通じる。次回は、さらに一方踏み込み、郷土芸能と外との交流や協働、交換、実験などがもっと具体的に起こってくると、さらに豊かな芸術と芸能の交流が起きてくるのではないか。

 「三陸国際芸術祭」での体験はすばらしく、リアス式海岸で名高い碁石海岸は美しかった。しかし、一方で、陸前高田の一本松周辺では、山を崩し幾本もの巨大なベルトコンベヤーで土を運び土地をかさ上げする工事が進んでいた。この風景も、フェスティバルの観客は忘れてはならない。「未来」について、さまざまな思いを巡らす機会となった。

            久野敦子(公益財団法人セゾン文化財団 プログラム・ディレクター)

【三陸国際芸術祭2014を終えて】

 様々な方々のご協力、ご支援によって「ヒューマンセレブレーション 三陸国際芸術祭2014」を終えることが出来ました。

 昨年10月に大船渡に滞在中、浦浜金津流獅子躍会長の古水さんのお宅でお話しする中で、「国際的なフェスティバルが出来たら、未来に向けて、三陸にとって、地元の郷土芸能にとっても大きな励みになるのでは」という会話から実現に向けての動きが始まりました。ちょうど文化庁の国際フェスティバルの申請の時期だったもので、すぐに申請書に取り掛かりました。どのようなフェスティバルが良いのか。どのようなフェスティバルであると意味があるのか。

その目的は、と話し合う中で、次のような目的を掲げました。

■郷土芸能の宝庫である東北沿岸部・三陸地域の魅力を日本全国そして世界に発信すること。

■芸術文化による国際交流の柱として、郷土芸能を位置づけること。

■三陸地域沿岸部(東日本大震災/津波の甚大な被害があった地域)の野外で開催し、国内外の人々が震災を考え続けるきっかけとなるようにすること。

■海外、特にアジアを中心に芸能を招聘し、東北地方の芸能と海外の芸能が交流し、また互いに刺激し合う場とする。同時に、東北の郷土芸能の団体同士、および地域間の交流が生まれる場とすること。

■フェスティバルの開催と並行して、「習いに行くぜ!東北へ!!」を行い、全国および海外から東北の芸能や文化を体験する機会を設け、後継者や新たな観光、雇用が生まれることを目指す。

 将来、郷土芸能の魅力に多くの人が触れ、そこから新しい芸術や文化が生まれることを目指すこと。そして、東北の郷土芸能だけではなくて、三陸に生きているすべての人たちが主役となるようなフェスティバルを創りたいと思いました。

 「この場所でこのようなことが出来るなんて思わなかった。」「地元にいてもなかなか郷土芸能をちゃんと見る機会がなかったので、改めて今回見て、すごいものだと思った。心が震えた。」「海外の芸能と一緒にやってみて、地__元の芸能が全然ひけをとっていなかった」「今回の演劇への参加をきっかけに演劇サークルを作ろうかと思う」「今回のフェスをきっかけに、ようやく初めて被災地に来ることが出来た。」「自分がいつもいるところが、まったく違って見えた。」など、様々な反響をいただきました。

 私自身が一番強く感じたことは、何気なく使っていた“東北は郷土芸能の宝庫である”という言葉が、本当に、こんなにたくさんの“宝物”があるんだという、驚きでした。郷土芸能の中には、その芸術性の高さ、熟練度、積み重ねてきた歴史性といった側面と、地域の中の精神的な核になっているという、人と人、世代、過去と現在と未来、を繋ぐ大きな役割があることを体験しました。そして今回バリ舞踊、韓国の農楽と共に行うことによって、アジアの芸能の共通性、根っこが繋がっているのだと実感しました。

 この「三陸国際芸術祭」を2020年まで、毎年継続して行っていきたいと考えています。現在、下記のようなことを考えています。

1. 毎年三陸の新しい開催地を開拓していく。各地で野外を中心に、郷土芸能を見るのに適した場所を見つけていく。

2. 毎年アジアの芸能を2-4グループ招聘し、互いの芸能を知ると共に、お互いに学び合う機会を創る。可能なところからコラボレーションを行い、新しい芸能を生み出す試みを行う。

3. 「習いに行くぜ!東北へ!!」を同時に開催して、日本全国、世界から東北の芸能を習う人々を受け入れる体制を整えていく。

4. 各地で、アーティスト・イン・レジデンスが出来る場所を見つけていく。そこは、芸能を習いに来る人たちが滞在できること、海外の芸能グループが長期に滞在して、クリエーションを行うこと。芸能だけではなくて、世界のアーティストが東北を訪れ、自分の作品を創るために滞在できることを想定している。

5. 上記のことを2020年まで積み重ねていくことによって、オリンピック・パラリンピックの時には、三陸のいくつかの場所で野外フェスティバルを行い、東北の復興について芸能を中心に世界に示す。その際には、東北の郷土芸能を紹介するだけではなく、アジアの芸能との間で生み出した新しい芸能も折り込み、アジアの中の日本を世界に示す機会にしたい。

6. 2020年以降は、東北が、アジアとの芸能のネットワークのハブとなり、日本全国そして世界の人々が、各地の芸能に触れ、体験できることを大きな柱とした観光産業を確立すること。そして世界のアーティストにとって、アーティスト・イン・レジデンスによって、新しい作品を生み出すことが出来る特別な場所として存在することにより、文化芸術によって人が行きかう場所となることを目指す。

皆様のご協力、ご支援のほど何卒よろしくお願い致します。

2014年10月28日

佐東範一 三陸国際芸術祭 プログラム・ディレクター

NPO法人ジャパン・コンテンポラリーダンス・ネットワーク 代表

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