洞関太神楽

どうせきだいかぐら

Doseki Dai-Kagura

所在地 : 岩手県釜石市

種別 : 神楽

甲子町洞泉にある「甲子郷日月神社」を中心として、洞泉、関沢地区に伝承され、奉納されてきた舞が「太神楽」です。この「太神楽」の伝承系譜は、確証を得ないまま今日に至っていますが、古老の口碑に「七軒丁」の名が出てくるところから推察すると、盛岡方面よりの伝承と考えられます。「七軒丁」とは現在の盛岡市仙北組町ですが、近年まで、太神楽、その他の雑芸の根拠地であったところです。
現状では、その調査の手がかりは失われていますが、「盛岡市史」によると、藩主南部利敬が、文化3年(1803)に神楽師を江戸に派遣して、江戸神楽を習得させたとあり、それが「多賀神楽江戸舞」と称するものになっています。釜石、甲子、栗林地方にある太神楽は、この「多賀江戸舞」の系統の流れを汲むものではないかと思われます。甲子郷日月神社には、天保3年(1832)加賀屋松次郎寄進の獅子頭があり、太神楽の当地における伝承は、この年以降と思われます。
太神楽の舞は、「通りの舞」「四方固めの舞」「雲切りの舞」「鈴矢車の舞」「くりの舞」といわれる舞からなり、幕付きの獅子頭をかぶって踊り、幕尻を持つものが後ろにつきます。躍り手は御幣と鈴を手にして舞うが、「雲切の舞」の時には、神楽謡が入ります。
神前にて舞う時は、「雲切りの舞」「鈴矢車の舞」には、“つるぎ”と鈴を持って舞います。
囃子は笛、大太鼓、小太鼓、手証金を使用し、悪魔払い、家内安全、商売繁盛などのかけ声がかかります。